「差別化」の弊害:アプリの平均インストール数、iOSとAndroidで大差

 この数字が現在の傾向を正しく表しているとしても全てが google の責任であるとするのは早計だろう。いろんな可能性が考えられるし、おそらくは複数の原因が絡み合った結果このような数字になったんだろうとは思う。しかし、シュミットのいう「差別化」による使いにくさや責任の所在の不明確さなども影響を及ぼしているに違いない。

 自分なりに思いつく原因を列記してみる。

  1. マーケット:Android ユーザは iPhone ユーザより平均して使用期間が短い。
  2. マーケット:Android market が使いにくく、自分の端末で使えるアプリを探すのが困難。
  3. フラグメント、マーケット:アプリによって想定しているハードウェアの設定が異なるので、自分の端末では快適に使えないものが多いのに、ダウンロードして起動してみないと自分の端末で使えるかどうか分からない。
  4. ハードメーカ、キャリア:ハードウェアの構成上多くのアプリをダウンロードできない状態で販売されている端末がある。
  5. マーケット、キャリア:Android market なのにキャリア限定アプリが置いてあって訳がわからない。
  6. マーケット:Android アプリを売っているサイトが複数あって、どこで買えばいいのか分からない。クレジットカードをいろんなサイトで入力するのは嫌。
  7. ユーザ:流行に乗ってAndroid端末を買ったようなユーザは元々アプリなどに興味はない。
  8. ユーザ:プリインストールされたアプリで満足している。
  9. ユーザ:自分でアプリを探してインストールして機能を追加するという楽しみを知らない。

 下の記事では、この原因を Android market の使いにくさが原因としているが、それだけではない。ユーザの習熟度は時間が解決するだろうが、マーケットやフラグメントに関する問題はプラットフォームオーナーの Google が動かない限り収束することはないだろう。

調査リポート:有料アプリの平均インストール数、iOSとAndroidで大差――「AskSmartly」調べ – ITmedia プロフェッショナル モバイル.

アンケートサービス「AskSmartly」を提供するフィルモア・アドバイザリーは1月10日、同アンケートツールで実施した、iOS/Android端末ユーザーのアプリ利用実態調査の結果を発表した。調査は1月5~8日まで、iOSユーザーとAndoirdユーザーの各300人(計600人)を対象に実施した。

 同調査ではiOSユーザーがAndroidユーザーよりも多くのアプリをインストールしている傾向が現れた。無料アプリのインストール数に関しては、iOSユーザーの平均は66.9個だったのに対し、Androidユーザーの平均は18.1個となった。有料アプリの数は、iOSユーザーは平均10.1個だった一方、Androidユーザーは0.9個だった。

 他の調査でも Android ユーザは iOS ユーザに比べて有料アプリを買わないという結果が出ている。

 こちらの記事では、アプリ購入のしやすさと iTunse アカウントを作るときにクレジットカード番号を入れさせていることが理由という分析をしている。

アプリ売り上げ「iOSはAndroidの6倍」、その理由 « WIRED.jp 世界最強の「テクノ」ジャーナリズム

Distimo社のバイスプレジデントであるレムコ・ファン・デン・エルゼンは、両者の違いは単純に、アプリ購入のしやすさから来ると指摘する。「アプリ購入でGoogle社が成功していないのは、『Google Checkout』が『iTunes』より扱いにくいと考えられているからだ」

「しかし、より重要なのは、Apple社が機器のアクティベーション時にクレジットカード情報を入力させることに成功していることだ。アプリを購入するハードルが下がり、Apple社にとって大きなプラスになっている」。

 このことは Android のエコシステムにとって望ましいことではないはずだ。Android market の売上の問題というより、開発者がプラットフォームに向けての開発を継続する経済的基盤を提供出来るかどうかに関わるはずだ。これについてはまた別の機会に書きたい。

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